辞令 —— 中継ぎへの配置転換について

令和八年九月二十二日 辞 令 佐々木 朗希 殿 ベースボール・アンクルズ・バー 人事部 先発ローテーションの任を解く リリーフ勤務を命ずる なお、本件に関する社内掲示は行わない。 スコアボードを以て代えるものとする。 以上 ※この辞令はうちの店が勝手に出したものである。ドジャースは何も言っていない。 火曜のドジャース対パドレス、9回完封リレー。使った投手、8人。 そのうちの一人が佐々木だった。1回、無安打、奪三振2。内容は文句のつけようがない。 問題は内容じゃない。今年24試合に登板して、そのうち23試合が先発だった男が、24試合目にブルペンから出てきた。そこだ。 これは調整じゃない。辞令だ。 日本の会社にいたことがある人なら、あの空気を知っているはずだ。誰も「降格」とは言わない。「適材適所」と言う。「チーム全体を考えた結果」と言う。本人も「与えられた場所で全力を尽くします」と言う。全員が正しいことを言っていて、全員が同じことを考えている。 10月の先発は、どう数えても4人か5人。入らなかった一人は、消えるんじゃなくてブルペンに行く。それだけの話だし、そこに悪意は一つもない。 ただ、今年の数字も置いておく。5勝5敗、防御率4.56、120回1/3で与四球48。 9回あたり3.6個。これは「1回だけ投げてくれ」と言いたくなる数字だ。 短ければ短いほど、あの真っ直ぐは速い。酷な話だが、そういう判断だろ。 同じ日、同じチームの話をもう二つ。 山本由伸、今日先発。前回登板は9月15日、つまり中7日。今年はほとんど中5日か中6日で回してきたから、中7日は今季いちばん長い休みになる。 シーズン成績は 12勝7敗、防御率2.61、151回2/3で145奪三振、WHIP 0.90、被打率.187。 これだけ数字が整っている投手をわざわざ二日余計に寝かせるのは、10月の初戦をどこに合わせるか、もう決まっているからだ。 大谷翔平、今日復帰見込み。9月7日を最後に15日間の故障者リスト —— 右上腕二頭筋と左膝。デーブ・ロバーツ監督はこう言っている。 「よほどのことがなければ、水曜はスタメンで行く」 状態については、 「10段階で言えば5だったのが、今は8か9ってところだと思う」 当面は打者に専念。マウンドには上がらない。 つまり水曜のドジャースタジアムは、中7日の先発が立ち、16日ぶりの打者が打席に入り、先週まで先発だった男がブルペンで肩を作っている、という夜になる。 三人とも日本人で、三人とも事情がまったく違う。一人は温存され、一人は戻され、一人は動かされた。 辞令ってのは、だいたいそういうふうに配られる。


